016：日記日記を書こうと、何度か挑戦したがなかなか続かない。日記を続けるコツというのを見ると、「日記を書く目的を持つ」とある。もうそこからつまずく。やったことを書き綴るなら、スケジュール帳だし。何かいいことがあったときはInstagramやTwitterに画像で上げている。時間を決めて毎日facebook、 Instagram、またはTwitterで１日を振り返ったらそれが日記になるのでは。人に見せる必要はぜんぜんないのだけれど。そう思っ...

015：片思い片思いが好き両思いは怖い手に入れたと思ったら欲張りになる「手に入れた」そう思うこと自体が不遜だ人は物ではないし心は見えない信じていたのにと相手に理想を押しつけて自分勝手に期待して絶望する翻って自分はどうなのか下に心を書く恋はいつか冷める心の中央に愛は残るそれでも人の心はうつろう嫌いになりたくない嫌われたくないお願いだからこっちを見ないで私に気づかないでずっとずっと好きでいさせて幸せなあ...

014：初めての……初めての買い物。私が小学生のころ、コンビニはなくて、商店街にはまだ八百屋や肉屋などが並んでいた。パン屋には客の見えるところに電動のパンスライサーがあり、食パン1斤を買う時に、何枚に切るか注文すると、店の人はスライサーにパンをセットし、目の前で切るところを見ることができた。私は動く機械ときれいに切られていくパンを見るのが好きだった。パン屋の一角は駄菓子屋を扱っていて、遠足のおやつをそこ...

013：眼鏡放課後児童クラブの職員をしていた時の話。個人面談で、とある保護者がとても心配そうにこういった。「せんせい、うちの子、学校で黒板が見えないんですって」よく話を聞くと、視力が落ちているようで、学校の先生から眼科に行ってメガネを作るように言われたのだとか。「そうなんですね。学童クラブでもメガネをかけることになるでしょうから、気をつけますね」そう言いながら、思い返す。宿題をしている時に、目が近す...

012：目覚まし時計私は寝起きが良いので目覚まし時計をあまり使ったことがない。目覚ましをセットすると自己暗示かかかるのか、鳴る少し前に目がさめてしまう。それでも子どものころは時計の上に大きな鐘が二つ付いた目覚まし時計が欲しいと思っていた。手に入れたのは、デジタル腕時計。アラーム機能がついていて、はずしてどこかに置き忘れても朝になればアラームが鳴って見つけることができた。現在、目覚まし時計は常時つけて...

011：傷跡母と祖父の故郷に行き、祖父の建てた石碑を見た。日本武神社の大きな石碑。祖父と祖父の兄の名前が書かれている。新潟県上越市清里区上深沢733。廃寺の手前にある小さな祠。石段を登って中をのぞいて振り返ったとき、足を踏み外して転んだ。左ひじに小さい傷をつくった。石か枝でえぐれたのか、普通の絆創膏はすぐに血で真っ赤になってはがれた。薬局をみつけてキズパワーパッドを買ってはった。いまも少しへこんだ傷跡を...

010：靴音靴音で思い出すのは、祖母の話である。曾祖父は赤坂見附１丁目で「くるま屋」、人力車屋をやっていた。赤坂の芸者の御用達であり、宮様を学習院まで送迎する仕事もしていた。曾祖父の前職は閑院宮の執事。1923（大正12）年9月の関東大震災の時には宮様の馬小屋に避難させてもらったという。曾祖父母の家には子どもがなく、祖母は16歳の時に養女になった。婿をとって、家を継ぐために。結婚した祖母が私の母を産み育ててい...